遺留分侵害額請求(減殺請求)を行使できる期限は1年!

父親が亡くなった後に、残されていた遺言を確認すると、自分にはほとんど相続する財産が残されていなかった。

父親には晩年愛人がいて、遺言で愛人に全財産を譲るとされていた。
母親の生活はどうなってしまうのか?

 

上記のケースのように、相続人にとって不公平だと感じる遺言が残される場合もあります。

民法に定められている遺留分制度を活用するなら、法律で保証されている最低限の相続分を取り戻すことができ、生活の安定を図ることができます。

 

ただし、この制度は行使できる期限が決められており、期限内に請求しないと権利が消滅してしまいます。

 

この記事を読めば、遺留分制度を活用するときのポイントや注意すべき点について理解できます。

 

遺留分侵害額請求(減殺請求)とは

f:id:kateikyoushilife:20210319162227j:plain

遺留分とは、一定の相続人に対して認められている相続財産の最低限の取り分のことです。


法律で定められている遺留分の割合は、直系尊属(親や祖父母)のみが相続人の場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は2分の1です。


遺留分侵害額請求とは、遺留分に満たない財産しかもらえない場合、他の相続人や第三者に対して、遺留分に相当する金銭を支払うよう請求できる権利のことです。


たとえば、相続人が長男と長女のみだったとします。
長男にのみ全財産を渡すという遺言があった場合、長女は遺産の4分の1に相当する金銭を支払うよう長男に求めることができます。

 

また、第三者に全ての財産を遺贈するという遺言があったとします。

 

この場合、配偶者には、相続財産の4分の1が遺留分として認められているので、その分に相当する金銭を支払うよう第三者に請求できます。
尚、被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。

 

以前は、遺留分減殺請求という制度がありました。
遺留分侵害額請求と似ていますが、遺留分減殺請求権は、遺留分を侵害する贈与や遺贈された財産の返還を請求する権利です。

 

財産そのものを返還する「現物返還」が原則であり、金銭での支払いは例外的でした。

 

2019年7月1日から法律が改正され、遺留分侵害額請求に制度が変わり、遺留分を侵害している場合に、財産そのものを返還する「現物返還」ではなく、金銭で請求することが原則となりました。

 

ここが大きな違いです。


遺留分侵害額請求を行使できる期限は1年(消滅時効)

f:id:kateikyoushilife:20210319214409j:plain

遺留分侵害額請求権を行使できる期限は1年です。

民法第1048条には、「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないとき」には遺留分侵害額の請求権は時効によって消滅すると定められています。

 

この条文を読むと、時効の起算点について、2つの要件があることが分かります。

 

1つ目の要件は、相続の開始を知った時です。
相続が開始するのは被相続人が亡くなった時なので、そのことを相続人が知っている必要があります。

 

2つ目の要件は、遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時です。
単純に贈与や遺贈があったことを知っているだけではなく、自分の遺留分が侵害されていることに気づいて初めて、1年の時効の計算が始まります。

 

以上の2つの要件が揃った時が、時効の起算点となります。
ただし、2つ目の要件にある遺留分を侵害する贈与や遺贈に、いつ気づいたかを客観的に証明することは容易ではありません。

 

そのため、相続開始から1年経つと、遺留分侵害額請求はできなくなると考えておくのが無難です。

 

遺留分侵害額請求の除斥期間は10年

民法第1048条には、「相続開始の時から十年を経過したときも、同様(遺留分侵害額請求ができなくなる)とする」と定められています。

 

この10年という期間は法律上、除斥期間とされています。
後ほど説明するように、消滅時効は時効を中断させることができますが、除斥期間には時効の中断というものはありません

 

そのため、相続開始から10年経過すると、遺留分侵害額の請求を一切できなくなります。

 

「相続開始の時から」とあるので、相続があったことを知っていても知らなくても、10年経てば請求できなくなってしまいます。

 

まとめ 

今回は遺留分侵害額請求を行使できる期限や、遺留分侵害額請求の除斥期間についてみていきました。

 

次回は遺留分侵害額請求の時効を止める・中断させる方法についてみていきたいと思います。

相続手続きの期限について

相続手続きは手続きごとに期限の有無があるため、慌ただしい中で期限に注意しながら進めなければいけないという特徴もあります。

 

相続手続きの期限はどうなっているのでしょうか。

 

この記事では相続手続きの全体的な流れや必要書類、期限などについて説明します。


相続手続き期限について

f:id:kateikyoushilife:20210215111210j:plain

相続手続きには期限のある手続きと期限がない手続きがあります。
期限のある相続手続きは以下の通りです。

 

  • 相続放棄や限定承認
  • 相続税申告
  • 準確定申告
  • 遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求権)

 

相続放棄や準確定申告、相続税申告についてはすでに期限についてお話ししましたので、遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求権)について補足します。

 

遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求権)とは、相続の際に「必要最低限の遺産の取り分をよこせ」と請求する権利になります。

 

たとえば、ある相続人にはまったく遺産を渡さず、特定の相続人だけに遺産を集中させたとします。
まったく遺産を受け取れなかった相続人が配偶者や子供の場合は被相続人が遺産を渡さないことによって生活が困窮する可能性があるはずです。

 

遺産には家族の生活の基盤になる資産をいう性質もあるためです。
このようなケースでは、遺留分が認められている相続人については、遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求権)により最低限の遺産の取り分を主張できるルールになっています。

 

遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求権)の期限は、被相続人の死と遺留分の侵害を知ってから1年です。

 

この他に、保険金の請求は3年、埋葬料・葬儀費や国保の死亡一時金の請求は2年などの期限があります。

 

相続手続きの期限はなくても必要なもの

f:id:kateikyoushilife:20210215111615j:plain

相続手続きの中には期限がなくても早めに済ませる必要のある手続きがあります。
相続人の調査や遺産の調査、金融機関の相続手続き、不動産の相続手続きなどは期限がありません。

 

しかし、相続人や遺産の調査については、早い段階で行わないと期限のある相続手続きができないのです。

 

たとえば相続税の手続きをする場合、相続人や遺産が調査により判明していないと手続きができません。


すでにお話ししたように、相続税申告には10カ月という期限があります。
期限内に相続税手続きをするためには、期限のない相続人調査や遺産調査を先に終わらせていることが前提なのです。


また、相続放棄などは3カ月という期限がありますが、こちらについても事前に相続人や遺産の調査が終わっていることが前提になります。


このように、期限のない相続手続きについても、期限のある相続手続きの前段階として済ませなければならないケースがあるため、期限のある相続手続きの期限に合わせて進める必要があるのです。


相続手続き自体に期限がなくても、早めに済ませなければ後の相続手続きに差し支えるものがあります。

 

特に遺産や相続人の調査は相続手続きの前提になるわけですから、早い段階で着手して済ませることが重要です。

 

この他に、相続期限がなくても早い段階で済ませたい手続きはふたつあります。
ひとつは遺産分割協議で、もうひとつは相続登記です。

 

相続人で遺産をわける場合は遺産分割協議をしなければ相続人ごとの遺産の取り分がわかりません。

 

遺産の分割がわからないということは、相続手続きを進められないということです。
相続手続きを進めるためにも、遺産分割協議は早めに進める必要があります。

 

相続登記も期限はありませんが、放置すると手続きがその分だけ困難になるため注意が必要です。

 

不動産の登記は基本的に中間を省略して手続きができません。
権利が移動した順に登記が必要になるのです。放置するとどの分だけ相続関係や権利関係が複雑化し、必要書類の収集などに手間取る可能性があります。


相続登記も早めに行いたい相続手続きのひとつです。

 

 

まとめ

相続手続きになれていないと「どの相続手続きからはじめればいいのだろう」と困惑することもあるのです。

 

また、期限のある手続きを優先した結果、期限のない相続手続きが前提になっていることを知らず、手続きできない可能性があります。

 

相続手続きをスムーズに進めるためには、専門家に任せるのが一番です。
専門家は相続手続きの手順から実務まで把握しています。
期限に遅れることなく、必要な相続手続きをスムーズに進められます。

相続手続き全体の手順・流れと必要書類

相続手続きがはじまったらどのような流れで手続きを進めればいいのでしょうか。
相続はいきなりはじまるからこそ手続きの流れや必要書類などで戸惑うはずです。

 

この記事では相続手続きの全体的な流れや必要書類ついて説明します。

 

 

相続手続きの全体的な流れ

f:id:kateikyoushilife:20210215111323j:plain



相続手続きをスムーズにこなすためには手続き全体の流れを知っておくことが重要です。

 

相続手続き全体の流れを知っておくことで、まずどの手続きから着手すべきか、優先的な手続きは何かがわかるはずです。

 

相続手続き全体の流れは以下のようになっています。

 

相続手続きではまず相続人や遺産の調査を行う

相続手続きではまず相続人や遺産の調査を行います
相続手続きを進めようにも、遺産や相続人がわからなければ進めようがありません。

 

相続人の調査は戸籍などを使って行います。
遺産の調査は個人の通帳や名寄帳などを使って進めることになるのです。

 

この他に故人の遺言書がないか確認しておきましょう。
遺言書があれば、基本的に遺言書に沿って相続手続きを進めます。
遺言書の書類によっては検認手続きが必要になるため注意してください。

 

相続放棄や限定承認などを検討する

相続放棄や限定承認は「相続があったことを知ってから3カ月」が期限になります。
遺産の調査をして負債が多ければ相続放棄や限定承認を検討する必要があるのですが、手続きに期限が定められているため注意が必要です。

 

相続放棄などを行う場合は期限内に済ませられるよう、遺産調査なども迅速に行うことが重要になります。

 

相続放棄や限定承認をする場合は裁判所で手続きを行います。

 

被相続人の所得の準確定申告をする

準確定申告とは、年度の途中で亡くなった被相続人の所得の確定申告になります。

被相続人の1月1日から亡くなった日までの所得を申告します。

準確定申告の期限は相続開始を知った日の翌日から4カ月以内です。

 

相続人全員で遺産分割協議を行う

相続人の話し合いで遺産を分割する場合は遺産分割協議を行います。

遺産分割協議は相続人全員でしなければならないため、ひとりでも欠けていると無効です。

遺産分割協議で決めた遺産の分け方については、遺産分割協議書にまとめます

 

相続税の申告を期限内に行う

相続税の申告が必要な場合は相続税申告の準備をして期限内に手続きを行います。
相続税の手続き期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内です。

 

なお、相続税申告についてはすべての相続ケースが対象になるわけではありません。
相続税の基礎控除を超えない場合は特に手続きの必要はないのです。

 

遺産に応じた相続手続きをする

相続手続きの中でも優先度の高い手続きを済ませ、遺産分割なども終わったら、遺産に応じた相続手続きを進めます

預金などの場合は金融機関の窓口で相続手続きし、不動産については法務局で相続登記を済ませます。

 

この他の遺産についても、遺産の内容に応じた相続手続きを行う流れです。

 

 

手続きに必要な書類とは

f:id:kateikyoushilife:20210215111303j:plain

相続手続きには相続手続きの内容によって書類が必要になります。
相続手続きをスムーズに進めるためには、あらかじめ相続手続きに応じた必要書類を準備しておくことが重要です。

 

相続手続きに応じた必要書類を説明します。

 

金融機関の相続手続きの必要書類

金融機関の相続手続きとは、被相続人の預金を解約し相続人に預金を渡す手続きになります。

金融機関の相続手続きでは以下のような書類が必要になります。

 

  • 金融機関の手続きに応じた必要書類
  • 被相続人や相続人の戸籍謄本、住民票
  • 相続人の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書
  • 相続関係説明図

など

金融機関の手続きに応じた必要書類とは、それぞれの金融機関の払い戻し依頼書などです。


被相続人が口座を持っている金融機関(相続手続きをする金融機関)から取得します。

 

不動産の相続手続きの必要書類

不動産の相続手続きとは、被相続人から相続人へと不動産の名義を変更する手続きのことです。

一般的に相続登記と呼ばれる手続きになります。

 

相続登記は法務局の登記窓口で行います。必要書類は以下の通りです。

 

  • 相続登記の申請書
  • 被相続人や相続人の戸籍謄本・住民票
  • 相続人の印鑑証明書不動産の関係書類
  • 遺産分割協議書

など

 

相続ケースによって不動産の相続手続きの必要書類が変わってくるため注意してください。


なお、司法書士に不動産の相続手続きを依頼する場合は委任状も必要です。

 

相続税申告に必要な書類

相続税申告は期限内に管轄の税務署で行います。
相続手続きの必要書類は以下の通りです。

 

  • 相続税の申告書
  • 被相続人や相続人の戸籍謄本・住民票
  • 相続人の印鑑証明書
  • 遺産に関する書類

など

 

相続税申告の必要書類は遺産の内容によって違います。
たとえば遺産に不動産が含まれていれば不動産に関する書類が必要になるのです。

 

相続税申告は必要書類が複雑になりがちなので、専門家に相談して準備することをおすすめします。

差し押さえられている不動産を相続・売却することは可能?注意点も合わせて紹介

税金の滞納や借金の滞納など、あらゆる債務の滞納を行っていると行われる強制手続きが“差し押さえ”です。

 

もしかすると、あなたが相続した不動産も差し押さえされている財産かもしれません。相続はプラスの財産のみではなく、マイナスの財産までも相続してしまうため、注意が必要です。

 

今回は、もしも差し押さえられている不動産を相続した場合には、相続や売却は可能なの?ということについて、お伝えしていこうよ思います。

差し押さえられている不動産であっても相続・売却は可能

f:id:sozoku_concierge:20201117233707j:plain

結論から先に申し上げれば、差し押さえられている不動産であっても、被相続人の死亡に伴って相続・売却が可能です。

 

例えば、父親が税金の滞納をしており、当該不動産を差し押さえられている状態のまま死亡してしまった場合。この不動産を法定相続人が相続することができます。

 

しかし、相続は不動産などのプラスの財産のみならず、滞納している税金などのマイナスの財産も相続します。そのため、不動産を相続する=マイナスの財産も相続してしまうため、税金の支払い気味が相続人に生じます。

 

そして上記のような場合、不動産を売却して滞納している税金を納められことや相続人全員の同意を得られていることを条件に、不動産の売却が可能です。

 

例えば、不動産売却価格が1,000万円であり、税金滞納分が150万円であれば、不動産売却代金で税金の支払いが可能であるため売却が可能です。

 

差し押さえられている不動産の所有権移転登記は可能?

f:id:sozoku_concierge:20200224094930j:plain

まず大前提として、不動産を売却する場合には“所有者の移転登記”を行わなければいけません。不動産の所有者が故人のままだと、相続人は不動産を売却することができません。

 

よって、差し押さえられている不動産も相続によって生じた所有権の移転に伴い、登記を行うことができます。

他の相続人が相続財産を差し押さえられた場合はどうなるの?

f:id:sozoku_concierge:20200411223657j:plain

先程は、被相続人が税金等の滞納によって不動産を差し押さえられてしまったケースで、お伝えしました。

 

しかし中には、被相続人ではなく複数の相続人の中のひとりが何かしらの滞納によって相続財産を差し押さえられてしまっている可能性があります。例えば、相続人がA・B・Cの3人で、相続財産は不動産のみであった場合。

 

A・B・Cの3人それぞれが共同所有という形でそれぞれの持ち分を取得します。ところが、Aには税金の滞納150万円があった場合、Aの財産でもある当該不動産は当然、差し押さえの対象になります。

 

上記のようなケースでは、Aの持ち分を限度に差し押さえられるに限り、BやCが直接的な被害を被ることはありません。また、A・B・Cそれぞれが同意することによって、不動産を売却することも可能なので安心してください。

まとめ

今回は、差し押さえられている不動産を相続してしまった場合はどうなるの?についてお伝えしました。

 

故人が唯一残してくれた資産が不動産であった場合、自分が住み慣れた自宅である場合、もしも差し押さえの対象物件になっていることを知ったら大変ショックを受けることでしょう。

 

しかし相続をするということは、プラスの財産を相続するのみではなく、マイナスの財産までもを相続するのです。相続をした以上はたとえマイナスの財産であっても必ず支払わなければいけず、支払わなければ当然、不動産を手放すしかありません。

 

お金の用意がむずかしければ、住み慣れた家であっても、手放すしかありません。また、一度相続をしてしまうと、あとから相続放棄を行うことはできません。

そのため、「相続財産が不動産のみかと思っていたらじつは、多額の借金を抱えていた」といった場合でも、相続をした以上は支払わなければいけません。

 

たとえ不動産を売却して、借金のすべてをまかないきれなくてもあなたが残りの借金を支払わなければいけません。相続は良いことばかりではありません。つねに慎重な判断のもと、相続するか否かの判断をしましょう。

売れない空き家は相続すべき?相続の種類と注意点について

売れない空き家ほどお荷物な不動産はありませんよね。とくに不動産はゴミ箱に捨てて所有権を放棄することはできません。

 

そんな売れないお荷物不動産は、相続すべきなのか相続放棄すべきなのか?はたまた、相続してしまった場合の対処法はあるのか?について詳しくお伝えしていこうと思います。

売れない空き家だけの相続放棄は可能?

f:id:sozoku_concierge:20201117233231j:plain

売れない空き家とその他の金融資産や売れる土地などが相続財産に含まれている場合、「“売れない空き家”だけを相続放棄したい」と考えるのは当然です。

 

しかし、結論から申し上げればそれは不可能です。そもそも相続には3種類あります。

 

まず1つ目が、プラスマイナス関係なく一切の財産を相続する「単純承認」

そして2つ目が、一部の財産のみを相続する「限定承認」

最後3つ目が、すべての財産について相続を行わない「相続放棄」

 

あれ?「限定承認」であれば、一部の財産のみを相続放棄することも可能なのでは?と思われた方もいるかも知れませんが、大きな間違いです。そう簡単に都合良くはいきません。

 

限定承認とは、プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を相続するという相続方法です。例えば、故人がたくさんの資産を残したまま亡くなったが、じつは多くの債務も抱えていた場合、債務の金額がわからなければ相続したほうが良いのか、相続しないべきか悩んでしまうことでしょう。

 

そういった場合に限定承認を行うことで、プラスの財産とマイナスの財産を相殺し、プラスの財産が余ればすべて相続。仮にマイナスの相続を上回った場合には、プラスの相続を限度として相続するというもの。

 

一言でまとめるとすれば、「売れない空き家だけを相続放棄することはできない」ということです。すべてを相続するか(限定承認含む)すべての財産を放棄するのか、二択でしかないと覚えておいてください。

売れない空き家が相続財産にある場合は、相続放棄すべき?

売れない空き家が相続財産に含まれているからと言って、「絶対に相続放棄すべきである!」とは言い切れません。例えば、売れない空き家であっても、更地にすることで売却が可能であったり、他の相続財産を考慮すればプラスになる場合には相続しても良いでしょう。

 

しかし、売れない空き家の活用方法が見いだせないまま相続してしまうと、一生涯固定資産税や維持管理費を支払うこととなります。相続放棄すべきか否かは慎重に検討されるべきでしょう。

 

売れない空き家を相続してしまったときの対処法

f:id:sozoku_concierge:20201117230933j:plain

まず大前提として知っておいたいただきたいのが、たとえ売れない空き家であっても「所有権の放棄は絶対にできない」ということです。自分が相続した不動産を、いらないからと言って放棄することはできません。

 

仮に「欲しい」という人が現れれば、売却したり無償で寄付したりしても良いですが、現れなければ一生涯自分の所有物です。ただ、売れない空き家であっても、毎年必ず支払わなければいけない固定資産税や維持管理費。無駄な出費がかさむため「どうにかしたい」そう思っている方も多いのではないでしょうか。

 

現状で対処法はありません。一度所有者になってしまうと、一生涯ついて回らなければいけませんので、やはり相続時には慎重に判断すべきでしょう。

 

しかし、近い将来所有権放棄を認める可能性があるとの声も聞こえてきています。ただ当然、誰でもそう簡単に所有権を放棄できてしまっては、国で行う維持管理等が大変です。

 

ある程度の条件が設けられる可能性は高いですが、近い将来所有権放棄が認められる可能性がありますので、そのときまで待ってみてはどうでしょうか。

まとめ

今回、売れない空き家が相続財産に含まれていた場合についてお伝えしました。

 

不動産は必ずしも価値があるものばかりではなく、売れない・価値のない空き家も多くあるでしょう。ですが、一度所有者になってしまうと所有権の放棄はできずに、一生涯固定資産税等を支払わなければいけません。

 

唯一、所有権を放棄できる場合として、“相続時”があります。相続時には慎重な判断のうえ相続放棄を行うか否かを決定しましょう。