不動産をお持ちの方は、ご存知かと思いますが、不動産にはさまざまな税金が課税されてしまいます。
不動産に対して発生する税金は、不動産取得時、不動産所有中、不動産売却時と、常に発生してしまうんですね。
今回は、不動産売却時の税金について紹介していこうと思います!
不動産売却で得た所得は譲渡所得
不動産売却時に発生する税金の話をする上で、まずはじめに覚えておいていただきたいのが“譲渡所得”です。
そもそも、所得は10種類に分類され、それぞれの控除額などが異なります。
ほとんどの方は、給与所得または事業所得もしくは公的年金等の雑所得で生計を立てていることでしょう。
そのため、譲渡所得という所得を耳にしたことがある方は少ないかもしれません。
譲渡所得とは、土地や建物などの不動産や株式、ゴルフ会員権などの資産譲渡益に対して課税される税金です。
譲渡所得については、土地や建物を売った費用から当該不動産を取得した費用、譲渡費用を差し引いて計算されます。
例えば、諸費用込み5,000万円で購入した物件を6,000万円で売却し、譲渡費用で100万円支払った場合。
6,000万円-5,000万円-100万円=900万円(譲渡所得)
上記の例であれば、900万円が譲渡所得になるという計算です。
では、不動産を売って得た利益900万円に対して課税されてしまうのか?といえば、そうではありません。
譲渡所得の課税所得を計算するには、不動産の“所有期間”が大きく関わってきます。
少し複雑な話ですが、詳しく解説していきますので、一緒に見ていきましょう。
不動産所有期間で課税額が大きく異なる!
不動産を譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得として計算されます。
不動産を譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以内であれば、短期譲渡所得として計算されます。
短期譲渡所得の税額計算
譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-※特別控除=課税短期譲渡所得金額
※特別控除は基本的にはありませんが、マイホーム特別控除などの特例があれば、特別控除になります。
課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9% 復興特別所得税0.63%)=税額
長期譲渡所得の税額計算
譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除=課税長期譲渡所得金額
こちらの計算については、長期・短期変わりはありません。一方で、税額の計算が異なりますので、見ていきましょう。
課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5% 復興特別所得税0.315%)=税額
短期譲渡所得部分については、39.63%(住民税・復興特別所得税含む)でした。
一方で長期譲渡所得部分については、20.315%(住民税・復興特別所得税含む)でした。
不動産売却の税額例
それでは、先ほど紹介した計算式をもとに、税額を計算してみましょう。
【例】
諸費用込み5,000万円の物件を6,000万円で譲渡、譲渡費用は100万円とする。
なお、所有期間は譲渡年1月1日時点で20年とします。(特別控除は無し)
6,000万円-(5,000万円+100万円)-0円=900万円
所有期間5年以下
900万円×39.63%=3,566,700円
所有期間5年超
900万円×20.315%=1,828,350円
所有期間が5年を超えているかどうかだけで、170万円以上の差が発生します。
そして、必ず注意しておいていただきたいのが、譲渡年の1月1日時点での所有期間であることです。
仮にある年の4月1日に購入した不動産を5年後の5月1日に売却したとしましょう。
実際の所有期間は5年を超えていますが、その年の1月1日時点では、5年を超えていません。
そういった部分にも気をつけて売却をしましょう。
各種特別控除
課税所得金額を計算する上で、特別控除という部分が出てきていました。
基本的に特別控除は無いと考えてもらって問題ありませんが、人によっては特別控除を受けられます。
不動産譲渡に係る特別控除の種類について紹介します。
・公共事業などのために不動産を売却した場合の5,000万円特別控除の特例
・マイホームを売却した際の3,000万円特別控除の特例
・特定土地区画整理事業などのために土地を売却した場合の2,000万円特別控除の特例
・特定住宅地造成事業などのために土地を売却した場合の1,500万円特別控除の特例
・平成21年~22年に取得した国内の土地を譲渡した場合の1,000万円特別控除の特例
・農地保有の合理化などのために売却した場合の800万円特別控除の特例
上記に当てはまる場合には、特別控除を受けられます。
まとめ
今回は、不動産を売却した際に発生する税金について紹介しました。
不動産売却に関わる税金は、所有期間によって大きく異なることがわかりました。
5年以下なのか5年超なのかによって、ここまで差が開くのは驚きでしたね。
先ほども紹介しましたが、不動産売却時には、1月1日時点での所有期間が適用されますから注意しましょう!