売れない空き家ほどお荷物な不動産はありませんよね。とくに不動産はゴミ箱に捨てて所有権を放棄することはできません。
そんな売れないお荷物不動産は、相続すべきなのか相続放棄すべきなのか?はたまた、相続してしまった場合の対処法はあるのか?について詳しくお伝えしていこうと思います。
売れない空き家だけの相続放棄は可能?
売れない空き家とその他の金融資産や売れる土地などが相続財産に含まれている場合、「“売れない空き家”だけを相続放棄したい」と考えるのは当然です。
しかし、結論から申し上げればそれは不可能です。そもそも相続には3種類あります。
まず1つ目が、プラスマイナス関係なく一切の財産を相続する「単純承認」
そして2つ目が、一部の財産のみを相続する「限定承認」
最後3つ目が、すべての財産について相続を行わない「相続放棄」
あれ?「限定承認」であれば、一部の財産のみを相続放棄することも可能なのでは?と思われた方もいるかも知れませんが、大きな間違いです。そう簡単に都合良くはいきません。
限定承認とは、プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を相続するという相続方法です。例えば、故人がたくさんの資産を残したまま亡くなったが、じつは多くの債務も抱えていた場合、債務の金額がわからなければ相続したほうが良いのか、相続しないべきか悩んでしまうことでしょう。
そういった場合に限定承認を行うことで、プラスの財産とマイナスの財産を相殺し、プラスの財産が余ればすべて相続。仮にマイナスの相続を上回った場合には、プラスの相続を限度として相続するというもの。
一言でまとめるとすれば、「売れない空き家だけを相続放棄することはできない」ということです。すべてを相続するか(限定承認含む)すべての財産を放棄するのか、二択でしかないと覚えておいてください。
売れない空き家が相続財産にある場合は、相続放棄すべき?
売れない空き家が相続財産に含まれているからと言って、「絶対に相続放棄すべきである!」とは言い切れません。例えば、売れない空き家であっても、更地にすることで売却が可能であったり、他の相続財産を考慮すればプラスになる場合には相続しても良いでしょう。
しかし、売れない空き家の活用方法が見いだせないまま相続してしまうと、一生涯固定資産税や維持管理費を支払うこととなります。相続放棄すべきか否かは慎重に検討されるべきでしょう。
売れない空き家を相続してしまったときの対処法
まず大前提として知っておいたいただきたいのが、たとえ売れない空き家であっても「所有権の放棄は絶対にできない」ということです。自分が相続した不動産を、いらないからと言って放棄することはできません。
仮に「欲しい」という人が現れれば、売却したり無償で寄付したりしても良いですが、現れなければ一生涯自分の所有物です。ただ、売れない空き家であっても、毎年必ず支払わなければいけない固定資産税や維持管理費。無駄な出費がかさむため「どうにかしたい」そう思っている方も多いのではないでしょうか。
現状で対処法はありません。一度所有者になってしまうと、一生涯ついて回らなければいけませんので、やはり相続時には慎重に判断すべきでしょう。
しかし、近い将来所有権放棄を認める可能性があるとの声も聞こえてきています。ただ当然、誰でもそう簡単に所有権を放棄できてしまっては、国で行う維持管理等が大変です。
ある程度の条件が設けられる可能性は高いですが、近い将来所有権放棄が認められる可能性がありますので、そのときまで待ってみてはどうでしょうか。
まとめ
今回、売れない空き家が相続財産に含まれていた場合についてお伝えしました。
不動産は必ずしも価値があるものばかりではなく、売れない・価値のない空き家も多くあるでしょう。ですが、一度所有者になってしまうと所有権の放棄はできずに、一生涯固定資産税等を支払わなければいけません。
唯一、所有権を放棄できる場合として、“相続時”があります。相続時には慎重な判断のうえ相続放棄を行うか否かを決定しましょう。