差し押さえられている不動産を相続・売却することは可能?注意点も合わせて紹介

税金の滞納や借金の滞納など、あらゆる債務の滞納を行っていると行われる強制手続きが“差し押さえ”です。

 

もしかすると、あなたが相続した不動産も差し押さえされている財産かもしれません。相続はプラスの財産のみではなく、マイナスの財産までも相続してしまうため、注意が必要です。

 

今回は、もしも差し押さえられている不動産を相続した場合には、相続や売却は可能なの?ということについて、お伝えしていこうよ思います。

差し押さえられている不動産であっても相続・売却は可能

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結論から先に申し上げれば、差し押さえられている不動産であっても、被相続人の死亡に伴って相続・売却が可能です。

 

例えば、父親が税金の滞納をしており、当該不動産を差し押さえられている状態のまま死亡してしまった場合。この不動産を法定相続人が相続することができます。

 

しかし、相続は不動産などのプラスの財産のみならず、滞納している税金などのマイナスの財産も相続します。そのため、不動産を相続する=マイナスの財産も相続してしまうため、税金の支払い気味が相続人に生じます。

 

そして上記のような場合、不動産を売却して滞納している税金を納められことや相続人全員の同意を得られていることを条件に、不動産の売却が可能です。

 

例えば、不動産売却価格が1,000万円であり、税金滞納分が150万円であれば、不動産売却代金で税金の支払いが可能であるため売却が可能です。

 

差し押さえられている不動産の所有権移転登記は可能?

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まず大前提として、不動産を売却する場合には“所有者の移転登記”を行わなければいけません。不動産の所有者が故人のままだと、相続人は不動産を売却することができません。

 

よって、差し押さえられている不動産も相続によって生じた所有権の移転に伴い、登記を行うことができます。

他の相続人が相続財産を差し押さえられた場合はどうなるの?

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先程は、被相続人が税金等の滞納によって不動産を差し押さえられてしまったケースで、お伝えしました。

 

しかし中には、被相続人ではなく複数の相続人の中のひとりが何かしらの滞納によって相続財産を差し押さえられてしまっている可能性があります。例えば、相続人がA・B・Cの3人で、相続財産は不動産のみであった場合。

 

A・B・Cの3人それぞれが共同所有という形でそれぞれの持ち分を取得します。ところが、Aには税金の滞納150万円があった場合、Aの財産でもある当該不動産は当然、差し押さえの対象になります。

 

上記のようなケースでは、Aの持ち分を限度に差し押さえられるに限り、BやCが直接的な被害を被ることはありません。また、A・B・Cそれぞれが同意することによって、不動産を売却することも可能なので安心してください。

まとめ

今回は、差し押さえられている不動産を相続してしまった場合はどうなるの?についてお伝えしました。

 

故人が唯一残してくれた資産が不動産であった場合、自分が住み慣れた自宅である場合、もしも差し押さえの対象物件になっていることを知ったら大変ショックを受けることでしょう。

 

しかし相続をするということは、プラスの財産を相続するのみではなく、マイナスの財産までもを相続するのです。相続をした以上はたとえマイナスの財産であっても必ず支払わなければいけず、支払わなければ当然、不動産を手放すしかありません。

 

お金の用意がむずかしければ、住み慣れた家であっても、手放すしかありません。また、一度相続をしてしまうと、あとから相続放棄を行うことはできません。

そのため、「相続財産が不動産のみかと思っていたらじつは、多額の借金を抱えていた」といった場合でも、相続をした以上は支払わなければいけません。

 

たとえ不動産を売却して、借金のすべてをまかないきれなくてもあなたが残りの借金を支払わなければいけません。相続は良いことばかりではありません。つねに慎重な判断のもと、相続するか否かの判断をしましょう。