遺産のうち4割近くが不動産であるという国税庁の統計が発表されています。
遺言を残しているか否かを問わず、不動産を相続するのであるならば一番最初に知っておくべきことがあります。
それが不動産の時価です。
不動産の価格と
土地の価格には以下のものがあります。
①固定資産税評価額
②路線価
③公示価格
④実勢価格
①から③の価格をもとに算出した売り出し価格をもとに実際に市場に出て成約した、つまり売れた金額が実勢価格、つまり時価となります。
なぜ時価が必要か
遺産分割協議をするにしても法定相続で共有状態にするにしてもいずれにしても相続する財産の価値を知っておくことはとても重要です。
財布の中身の紙幣の価値を知っていないことと同義だからです。
さらに遺産分割協議をする際には不動産をもらう側も、不動産ももらわない側もきちんとした価格をしっておくべきです。
上記の4つの不動産の価額で一番皆様になじみがあるのが固定資産税評価額だと思います。
しかし一般的に固定資産税評価額は時価の7割程度だと言われています。
7割程度の土地の価格をもとに均等になるように遺産分割協議をしようとしても不動産をもらえない側は預貯金などでの補填の金額が少なくなってしまいます。
反対に土地をもらう側の人も注意が必要です。
道路との接道が悪いような土地では固定資産税評価額より実際の価格が低くなることもよくあるからです。
代償分割の場合
遺産分割協議の方法の一つに代償分割という方法があります。
遺産の全部または一部をある相続人がもらうかわりに、不足した分のお金を遺産の分配ではなく、もらう側の相続人の財産から支払うという方法です。
例えば長男が不動産を相続し長女が預貯金を相続するという話で協議がまとまりますが、不動産の価格と預貯金の価格の均等が取れない場合など、長男、長女間の不均衡をなくすために、不足分を長男の自分の貯金から支払うという場合です。
このような場合には前提として不動産の時価を知っておく必要があります。
そのためには時価を知るためにも不動産会社などに査定をしていただくことがおすすめです。裁判などにも発展することがあれば不動産鑑定士のような専門家の鑑定書なども必要となるケースもあります。
相続人間で時価の金額について争いがないように、3~5社など複数の査定書を出していただくようにすることもおすすめです。
不動産をもらう側の相続人は査定を低く見積もってもらったほうが得ですし、不動産をもらえない側の相続人は不動産を高く見積もってもらった方が得になりますので、相対し話がまとまらなくなる可能性があるからです。
いずれにしても遺産分割協議をするにはぜひとも客観的評価の基準として不動産の査定をしていただくことをおすすめします。