亡くなられた方が遺言を残していたら

相続が発生した時に遺言の有無はとても重要なことの一つです。

 

 

遺言が残されていたら原則として遺言の通りに遺産は分配されます。しかし、遺言の書き方あるいは遺産を受け取る方によって手続きは大きく変わってきます。

 

今回は遺言が残されていた時の不動産の相続手続きについてお話します。

 

相続?遺贈?

遺産を誰にどのように分け与えるかが遺言の大きな目的の一つです。

 

この中で相続人になる人に分け与えるか、相続人以外の方、例えば子が生きているが子の子、つまり遺言者から見れば孫に財産を分け与えるかで書き方が異なります。

 

相続人に分け与える場合は「相続させる」と書くことが一般的で、相続人以外、例えば孫に分け与える場合は「遺贈する」と書きます。

 

「相続させる」と「遺贈する」の手続きの違い

不動産の相続手続きにおいて、相続人に相続させる旨の遺言は遺言者の死亡に伴い遺言で指定された相続人が不動産を取得することになります。

 

よって、手続きは遺言で不動産を取得するよう指定された相続人が自身の名義に変更することができます。

 

他方、遺贈するというように書かれた遺言の場合は異なります。

 

遺贈は相続人全員が義務者となる必要があります。

 

このように相続と遺贈では登記の当事者がまず異なってきます。

 

法務局に提出する書類も異なる。

 

相続人に相続させる旨の遺言と遺贈する旨の遺言の違いは法務局に提出する書類も異なります。

 

相続人に相続させる旨の遺言の場合は

  • 遺言書(※自筆証書遺言の場合は検認済みのもの)
  • 遺言者が亡くなった戸籍および住民票の除票
  • 不動産を取得する相続人の住民票及び自身が相続人であることがわかる戸籍

などが必要です。

 

他方、遺贈する旨の遺言は場合は

  • 遺言書
  • 権利証や登記識別情報
  • 遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍
  • 相続人の戸籍及び住民票等
  • 相続人の印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)
  • 不動産をもらう人の住民票

などが必要となります。

 

このように相続の場合と遺贈の場合では、当事者にしても法務局に提出する書類にしても

大きく異なります。

 

遺贈より相続のほうが手続き的にも簡易であるといえ、遺贈の場合は相続人全員の協力が必要となってきますので相続人が多数になっている場合には大きな手間がかかるといえます。

 

遺贈をする遺言を残す場合には・・・・

遺贈をする遺言を残す場合には遺言において遺言執行者を指定しとくことをお勧めします。

遺言執行者とは相続人全員の代理人として遺言を執行することができます。

 

遺言執行者が指定されており、遺言執行者が選任されたら上記の登記手続きも相続人全員ではなく遺言執行者が登記義務者として手続きを行うことができ、手間を減らすことができます。

 

なお、遺言執行者が遺言で指定されていなくとも、遺言者が死亡後に家庭裁判所に選任してもらうこともできます。

 

 

今回は相続させる旨の遺言と遺贈の場合の手続きの違いについてお話しました。手続きの煩雑さなど残された相続人は大変になるかもしれませんが、一番は遺言を残される方のお気持ちだと思い手続きは粛々とやっていただければと思います。