今回はそれなりに広い土地や複数の不動産を相続した時におこりうる問題です。
例えば、父親がコインパーキングにしている土地を相続したとします。
駐車場経営よりも手っ取り早く売却しようと不動産会社に相談に行き査定をしてもらいました。
不動産会社の担当者の提案で、きれいに造成して宅地にし、3区画にわけてそれぞれ買主を探してもらうことにしました。
しばらくして、不動産会社の担当者から電話がかかてきて、(やっと買主がみつかったか)と思って喜んで電話に出たところ、出てきた言葉に絶句しました。
「宅建業法違反かもしれない?」
上記の話、どこが宅建業法違反なのでしょうか。
宅建業法の規定
宅地建物取引業とは「宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。」と規定されています。(宅建業法第2条第2項)
そして、この宅地建物取引業を無免許で行った場合には「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と罰則規定も設けられています。(宅建業法第79条第2項)
宅地建物取引業とは
しかし、宅地建物取引業とはどのような業務なのでしょうか。
国土交通省の定める「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」から解釈をされます。
国土交通省の解釈・運用によると
「 本号にいう「業として行なう」とは、宅地建物の取引を社会通念上事業の遂行とみることができる程度に行う状態を指すものであり、その判断は次の事項を参考に諸要因を勘案して総合的に行われるものとする」として、さらに5つの判断基準を定めています。
今回の場合、「取引の反復継続性」に該当する可能性が考えられます。
不動産を売ったり買ったりを繰り返し行う行為として該当するということです。
今回のように3区画に区割りをしたら3回売買をすることになります。
その点で宅建業法違反になる可能性もあるといえます。
ただ、上記の通り、国土交通省の解釈でも「その判断は次の事項を参考に諸要因を勘案して総合的に行われるものとする」としていますので、この点だけを抑えて宅建業法違反であるといえるかは判断しかねます。
ただ、じゃあ、2区画なら大丈夫なのか?と言われても明確な基準がないのが事実です。
そういう意味では区割りや上下水道の引き込みなどせずに、建売業者などに一括して全部売却してしまった方が宅地建物取引業としてはみられる可能性は低いといえそうです。