もらっても困る不動産③~道路がついていない不動産~

今回ももらっても困る不動産について解説します。今回は道路がついていない不動産について解説します。

 

道路がついてない不動産は利用価値がない?

道路がついていない不動産は、全く利用価値がないわけではありません。しかし、利用価値は著しく低いといわざるを得ないでしょう。その理由は建築基準法で定められているルールにより、建物を建てることができないからです。

建物を建築する場合、幅が4メートル以上の道路に2メートル以上接している必要があります。そのため、道路に接していない土地や2メートル未満の接道、細い道路にしか面していない場合は、土地がいくら広くても建物を建てることができないのです。

昔の法律であれば、建てることができたため、建物が残っている場合も多くあります。しかし、現在が建物が建っている場合でも、建物を建て替えることはできません。

 

道路がついていない不動産を保有している場合の対処方法

道路がついていない不動産を保有している場合の対処方法について解説します。

道路に面している隣地に購入してもらうか隣地を購入する

接道義務を果たしていない土地を対処するためにまず検討するべきことは、隣地の人と交渉し、隣地の人に土地を購入してもらえないかということです。接道していない土地を購入しても建物を建てることができないため、ほとんどの人にとって意味がありません。しかし、隣地の人であれば、自分の土地とあわせることで道路がついている土地にすることができますので、利用価値が生まれます。

隣地の人に購入してもらうことが難しい場合は隣地の土地を購入することを検討してもよいでしょう。隣地を購入することで、自分が保有している土地の価値を向上させることができます。

ただし、購入するにしても売却するにしても隣地の人との交渉が必要となります。隣地の人としても、交渉の相手方が自分しかいないことは容易に想像できますので、価格交渉は隣地の言い値になってしまうケースも多くあります。

建物をリフォームする

接道義務を満たしていない土地は、新しい建物を建築することはできませんが、既存の建物を活かしてリフォームやイノベーションをして価値を向上することは可能です。建物が老朽化していて利用することが難しい場合は、建物をリフォームやリノベーションで使える状態にし、自分で利用したり、他人に賃貸に出して収益を得たりすることも可能です。

収益を得られる状態になれば収益物件として売却できる可能性もあります。

もらっても困る不動産②~共有者が多い不動産~

前回に引き続きもらっても困る不動産について解説します。今回は共有者が多い不動産について解説します。

共有者が多い不動産の問題点

共有者が多い不動産にはどのような問題点があるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

重要な意思決定が困難

不動産を売却する際など重要な意思決定をする場合、不動産の権利関係者全員で合意して行う必要があります。共有者がたくさんいると意思決定することが難しくなりますし、自分の思う通りにすることは難しいでしょう。

また、不動産に興味がない人がいると、建物の建て替えや必要な修繕にも費用をかけて行うことに賛成しない人もいるでしょう。必要な修繕ができないと、周辺住民に迷惑がかかるケースもあります。

メンテナンスや諸費用の支払いで揉めることがある

不動産は現物資産ですので、あらゆるメンテナンスが必要となります。更地であっても草刈りが必要な場合がありますし、建物であれば、定期的に窓を開けたりしておかないと建物が傷んでしまいます。このような手間がかかることは近くに住む人が行うことが多くなりますが、負担が偏ることで不満を持つケースも多いでしょう。

また、固定資産税の支払いなど固定費を誰が払うかで揉めることも多くあります。

 

共有状態を解消する方法

相続した不動産が既に共有状態となっている場合、共有状態を解消するために何をすればよいのでしょうか。共有状態の解決方法について解説します。

共同で売却する

共有状態を解消するために、権利を持つ人全員の合意を得たうえで売却するという方法があります。売却して得た資金は持ち分に応じて分配することになりますが、いくらで不動産を売却できるかが重要となります。

不動産業者での見積もりは単独で依頼をすることができますので、まずは自分で見積もりを行ってから共有の権利者を説得してもよいでしょう。

持ち分を買い取る

資金は必要となりますが、他の権利者から持ち分を買い取るという方法もあります。持ち分を他の人から買い取ることで、単独で所有することができます。

共有の持ち分を買い取る場合も、不動産業者に見積もりを依頼し、市場価値を調べることで客観的な水準を示すことが可能です。もし、買い取ることに応じてもらえない場合には値上げして交渉をしてもよいでしょう。

持ち分を売却する

継続して不動産を保有したいと考えている権利者に持ち分を売却するということも一つの方法です。持ち分を売却する際も、不動産業者に見積もりを依頼し適正価格を示しましょう。売却することに応じてもらえない場合は、買い取りの場合とは逆に値下げをして交渉をしてみてもよいでしょう。

もらっても困る不動産①~農地~

 

不動産には評価が高くすぐに売却できるものもありますが、もらっても困るものもあります。今回はもらっても困ることがある農地について解説します。

 

農地は簡単に売却できない

農地を相続して困る理由は簡単に売却することができないからです。農地の売却できるケースは以下の2つのケースしかありません。

 

農業を継続する人に売却する

農地を農地のまま売却する場合、農業を専業としている農家の人に売却する必要があります。売却できる農家は以下の条件を満たす必要があります。

①専業の農家である(新しく農業を始める人や兼業の農家は不可)

②一定以上の農地を保有している(地域により異なる)

③所有している農地をすべて耕作している

④農業をするために人材や機械を確保できている

農業は収益性が乏しく農業を専業で行う人は徐々に減ってきています。特に地方の農家は人で不足が深刻で売却する農家を見つけることは簡単ではありません。

 

宅地に転用して売却する

専業農家に売却することが難しい場合は宅地として転用して売却することを目指す必要があります。宅地転用をする場合は農業以外の目的で利用するために地目変更をすることになりますので、駐車場や自宅を建てるということです。

宅地転用をするためには宅地転用するのにふさわしい土地である農業委員会に認めてもらう必要があります。

農業用地は5つの種類に分けられています。

①農用地区域内農地:農業振興地域内にある農地

②甲種農地:機械工作に適した集団農地

③第1種農地:10ha以上の集団農地

④第2種農地:駅、官公庁などから500m以内にある生産力が低い農地

⑤第3種農地:駅、官公庁などから300m以内にある、市街地農地

基本的に許可が認められるのは④第2種農地と第3種農地しかありません。宅地転用して売却することも簡単ではないのです。

 

農地を保有する場合の相続対策

農地を保有している場合、相続人と事前に話し合っておく必要があるでしょう。まず、相続人に確認しておくべきなのは法定相続人が農業を続ける意思があるかどうかです。

相続人の中で農業を継続する意思がある相続人がいる場合は、農業を継続する人に農地を相続させるようにしましょう。農地を相続する人を決めておきたい場合は遺言を作成しておくとよいでしょう。

農業を継続する人がいない場合は、農地の売却を検討するようにしましょう。農地として売却することも宅地転用して売却することも簡単ではありません。相続発生後に検討することは難しいため、生前に売却が可能か確認しておくことが重要です。

相続した不動産を売却する際の注意点

相続した不動産が不要な場合、売却を検討する方も多いでしょう。今回は相続した不動産を売却する際の注意点や特例について解説します。

 

不動産を売却すると税金がかかる

不動産を売却すると税金がかかります。具体的には譲渡所得税、登録免許税、印紙税などがかかります。
相続した不動産を売却する際に特に注意が必要なのが譲渡所得税です。譲渡所得は不動産を売却した際に得た利益に対して課される税金です。

不動産の利益は売却価格から購入価格と購入や売却に要した不動産仲介手数料などの費用を差し引いて計算します。
相続した不動産は購入時の価格がわからない場合や先祖代々引き継いだ不動産でかなり安く取得している場合があります。
購入時の価格がわからない場合、取得費として、5%を差し引くことができますが、売却価格のほとんどが利益になっていますので、重い税負担が発生します。譲渡所得税は翌年の2月~3月の確定申告で納付します。売却して得た現金を全て使ったり、解約できないような金融商品にしたりすると税金を払うことができませんので注意しましょう。

 

相続不動産を売却する際の特例

相続した空き家を売却した場合3,000万円の特別控除があります。
相続した空き家は1981年5月31年以前に建築された建物で、相続人が相続開始まで居住用として利用しており、売却まで空き家状態であったことが条件です。そのため、相続後賃貸に出した場合などは特例を利用することができません。
また、売却は3年後の年末までで売却価格1億円以下であることが条件です。この特例を利用することで、譲渡所得から3,000万円を控除することができますので、大きく税負担を減らすことができます。譲渡所得が3,000万円以内であれば、譲渡所得税はかかりません。

 

他の相続人からクレームが出る可能性がある

相続した不動産はしばらく置いておくべきという価値観がある人も多くいます。実家を相続した場合などでも3回忌までは置いておいて欲しいと考える人も多いものです。
自分の権利になっているのであれば、相続してすぐに売却しても問題はありませんが、他の相続人が感情的に許せないというケースもあります。
何年間売却できないなどの決まりはありませんが、他の相続人にも配慮した方が良いでしょう。相続してから期間が経過すると、3,000万円控除が利用できなくなるなどデメリットもありますので、他の相続人に説明して理解を得る事も重要です。

不動産投資を続けるべきかの判断基準

収益不動産を相続した場合、不動産投資を続けるべきか、検討する必要があります。不動産投資を続けるべきか、判断する基準について解説します。


土地の将来性


不動産は動かない財産ですので、立地が非常に重要です。少子高齢化による人口減少が続いてる日本では全ての土地が値上がりするということはないでしょう。
現在の流れは地方から東京などの都市圏に人工流入が続いている状況下です。共働き世帯の増加などにより、郊外の土地よりも働く場所に近い都心の価格が値上がりしています。また、若者の車離れにより、駅に近い場所が好まれるようになっています。時代の流れによってどのような土地が好まれるかは変わっていきます。
収益不動産を保有し続けるべきかどうか、判断する基準として、その土地の今後の価値について考え、情報を集める必要があります。


後継者がいるか

収益不動産は代々引き継いだ土地を活用していることも多くあります。収益不動産の運営を続ける場合、後継者の存在も重要となります。
不動産を保有し続けることで、次の世代に財産を相続する際にバランスが崩れてしまうこともあります。
収益不動産を保有し続けることで、次の世代で揉め事を起こすようであれば自分の代で売却先して現金化することを検討しても良いでしょう。
また、不動産を引き継ぐ際には納税資金不足にも注意する必要があります。不動産の割合が多く、現金が少ない場合、納税することが難しくなる場合があります。複数の不動産を保有している場合は一部を売却して現金を増やしておくなどの対策を行う必要があるでしょう。
自分の相続税がどれくらいかかりそうかわからない場合は財産目録を作成し、税理士に相談することをおすすめします。相続税の評価は全ての財産を評価し、特例も考慮する必要がありますので、簡単ではありません。税務の専門家である税理士に相談し、しっかりと把握してしておくようにしましょう。


リスクも認識する

不動産投資にはリスクが付き物です。賃貸不動産であれば、空室リスクを完全に0にすることはできません。空室状態が長く続くと、固定資産税やメンテナンスの費用で赤字の状態が長く続く場合もあります。
また、台風や地震などの天変地異や中で人が亡くなったりすることで事故物件になることもあり得ます。
今はうまくいっていたとしても、将来どうなるかはわかりませんので、リスクもしっかりと認識したうえで保有し続ける必要があります。