もらっても困る不動産①~農地~

 

不動産には評価が高くすぐに売却できるものもありますが、もらっても困るものもあります。今回はもらっても困ることがある農地について解説します。

 

農地は簡単に売却できない

農地を相続して困る理由は簡単に売却することができないからです。農地の売却できるケースは以下の2つのケースしかありません。

 

農業を継続する人に売却する

農地を農地のまま売却する場合、農業を専業としている農家の人に売却する必要があります。売却できる農家は以下の条件を満たす必要があります。

①専業の農家である(新しく農業を始める人や兼業の農家は不可)

②一定以上の農地を保有している(地域により異なる)

③所有している農地をすべて耕作している

④農業をするために人材や機械を確保できている

農業は収益性が乏しく農業を専業で行う人は徐々に減ってきています。特に地方の農家は人で不足が深刻で売却する農家を見つけることは簡単ではありません。

 

宅地に転用して売却する

専業農家に売却することが難しい場合は宅地として転用して売却することを目指す必要があります。宅地転用をする場合は農業以外の目的で利用するために地目変更をすることになりますので、駐車場や自宅を建てるということです。

宅地転用をするためには宅地転用するのにふさわしい土地である農業委員会に認めてもらう必要があります。

農業用地は5つの種類に分けられています。

①農用地区域内農地:農業振興地域内にある農地

②甲種農地:機械工作に適した集団農地

③第1種農地:10ha以上の集団農地

④第2種農地:駅、官公庁などから500m以内にある生産力が低い農地

⑤第3種農地:駅、官公庁などから300m以内にある、市街地農地

基本的に許可が認められるのは④第2種農地と第3種農地しかありません。宅地転用して売却することも簡単ではないのです。

 

農地を保有する場合の相続対策

農地を保有している場合、相続人と事前に話し合っておく必要があるでしょう。まず、相続人に確認しておくべきなのは法定相続人が農業を続ける意思があるかどうかです。

相続人の中で農業を継続する意思がある相続人がいる場合は、農業を継続する人に農地を相続させるようにしましょう。農地を相続する人を決めておきたい場合は遺言を作成しておくとよいでしょう。

農業を継続する人がいない場合は、農地の売却を検討するようにしましょう。農地として売却することも宅地転用して売却することも簡単ではありません。相続発生後に検討することは難しいため、生前に売却が可能か確認しておくことが重要です。