相続手続きの期限について

相続手続きは手続きごとに期限の有無があるため、慌ただしい中で期限に注意しながら進めなければいけないという特徴もあります。

 

相続手続きの期限はどうなっているのでしょうか。

 

この記事では相続手続きの全体的な流れや必要書類、期限などについて説明します。


相続手続き期限について

f:id:kateikyoushilife:20210215111210j:plain

相続手続きには期限のある手続きと期限がない手続きがあります。
期限のある相続手続きは以下の通りです。

 

  • 相続放棄や限定承認
  • 相続税申告
  • 準確定申告
  • 遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求権)

 

相続放棄や準確定申告、相続税申告についてはすでに期限についてお話ししましたので、遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求権)について補足します。

 

遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求権)とは、相続の際に「必要最低限の遺産の取り分をよこせ」と請求する権利になります。

 

たとえば、ある相続人にはまったく遺産を渡さず、特定の相続人だけに遺産を集中させたとします。
まったく遺産を受け取れなかった相続人が配偶者や子供の場合は被相続人が遺産を渡さないことによって生活が困窮する可能性があるはずです。

 

遺産には家族の生活の基盤になる資産をいう性質もあるためです。
このようなケースでは、遺留分が認められている相続人については、遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求権)により最低限の遺産の取り分を主張できるルールになっています。

 

遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求権)の期限は、被相続人の死と遺留分の侵害を知ってから1年です。

 

この他に、保険金の請求は3年、埋葬料・葬儀費や国保の死亡一時金の請求は2年などの期限があります。

 

相続手続きの期限はなくても必要なもの

f:id:kateikyoushilife:20210215111615j:plain

相続手続きの中には期限がなくても早めに済ませる必要のある手続きがあります。
相続人の調査や遺産の調査、金融機関の相続手続き、不動産の相続手続きなどは期限がありません。

 

しかし、相続人や遺産の調査については、早い段階で行わないと期限のある相続手続きができないのです。

 

たとえば相続税の手続きをする場合、相続人や遺産が調査により判明していないと手続きができません。


すでにお話ししたように、相続税申告には10カ月という期限があります。
期限内に相続税手続きをするためには、期限のない相続人調査や遺産調査を先に終わらせていることが前提なのです。


また、相続放棄などは3カ月という期限がありますが、こちらについても事前に相続人や遺産の調査が終わっていることが前提になります。


このように、期限のない相続手続きについても、期限のある相続手続きの前段階として済ませなければならないケースがあるため、期限のある相続手続きの期限に合わせて進める必要があるのです。


相続手続き自体に期限がなくても、早めに済ませなければ後の相続手続きに差し支えるものがあります。

 

特に遺産や相続人の調査は相続手続きの前提になるわけですから、早い段階で着手して済ませることが重要です。

 

この他に、相続期限がなくても早い段階で済ませたい手続きはふたつあります。
ひとつは遺産分割協議で、もうひとつは相続登記です。

 

相続人で遺産をわける場合は遺産分割協議をしなければ相続人ごとの遺産の取り分がわかりません。

 

遺産の分割がわからないということは、相続手続きを進められないということです。
相続手続きを進めるためにも、遺産分割協議は早めに進める必要があります。

 

相続登記も期限はありませんが、放置すると手続きがその分だけ困難になるため注意が必要です。

 

不動産の登記は基本的に中間を省略して手続きができません。
権利が移動した順に登記が必要になるのです。放置するとどの分だけ相続関係や権利関係が複雑化し、必要書類の収集などに手間取る可能性があります。


相続登記も早めに行いたい相続手続きのひとつです。

 

 

まとめ

相続手続きになれていないと「どの相続手続きからはじめればいいのだろう」と困惑することもあるのです。

 

また、期限のある手続きを優先した結果、期限のない相続手続きが前提になっていることを知らず、手続きできない可能性があります。

 

相続手続きをスムーズに進めるためには、専門家に任せるのが一番です。
専門家は相続手続きの手順から実務まで把握しています。
期限に遅れることなく、必要な相続手続きをスムーズに進められます。