遺産を相続する際に相続人の一番の関心ごとは遺産分割協議ではないでしょうか?
誰がどれくらい財産を取得するのか?
それには親の介護などへの貢献度や親からの生前からの援助の具合など様々な事情を踏まえて行われることが多く、一度相続人間でもめだすとなかなかうまくいかないケースがあります。
今回は遺産分割の方法の1つである換価分割について解説します。
換価分割とは
遺産分割には3つの方法があります。
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
です。
遺産分割の方法を知ることでより柔軟な遺産分割協議をすることができます。
換価分割とは不動産などを売却して現金化し、その現金を分割する手法です。
通常の現物分割では、不動産は長男A、預貯金は長女Bなどとそのものを分割します。
あるいは不動産を長男A2分の1、長女B2分の1などでわけることが通常です。
しかし、預貯金の額と不動産の価格に大きな隔たりがある場合など、例えば遺産総額の8割が不動産である場合など、預貯金だけもらう長女は不満が出るでしょう。
また、預貯金の一切を長女にもっていかれたら、現金が欲しい長男も困ることになります。
そのような際に、遺産分割協議書の中に「不動産は長男Aが相続するが、売却によって換価し、諸経費を差し引いたのち長男A2分の1、長女B2分の1の割合で分割する」旨の文言を記載することで換価分割としての遺産分割協議が成立します。
換価分割の注意点
不動産を現金化し、それをほかの相続人に分配する際にはかならず上記の旨の文言を遺産分割協議書に記載するようにしましょう。
そうでなければ、遺産分割協議の結果取得した者(上記の場合A)が売却して、その売買代金をほかの相続人(上記の場合B)に贈与したとみなされます。
不動産は高価なものですので、贈与税も高額になってしまいます。
たとえば、3000万円で売却できて1500万円をほかの相続人に贈与したとみなされた場合、税率は45%となり贈与税は450万円ほど税金がかかります。
また、不動産が購入した時より売却した時の価格で利益が出ている場合には各相続人が譲渡所得税の申告をする必要があります。
相続財産の譲渡所得税の申告の根拠となる取得費は被相続人が取得した時の価格が根拠となります。
不動産を取得した価格のわかるものが必要です。被相続人の遺産の中から契約書を見つけておくことをお勧めします。
今回は遺産分割協議のうち換価分割について説明しました。
換価分割の場合にはきちんとした遺産分割協議書を作成しなければ贈与の問題もからんできます。また、譲渡所得税の申告も必要なケースも出てきますので、信頼できる専門家にご相談されることをおすすめします。