人は必ず、最期の日を迎えます。
残された家族の生活を考えれば、少しでも多くの財産を残したいと思うのは当然です。
もしかしたら、自分が死んでも家族の住居だけは確保しようと思い、マイホームを購入した方もいるかもしれません。
しかし、マイホームを購入すれば本当に安心なのでしょうか?
不動産の相続には、落とし穴があるんですよ。
もしものときのために購入した不動産であっても、知らなければ、最悪の場合、手放さなければいけなくなります。
せっかく購入した不動産を家族に残すために今回は、不動産と相続税についてお話をしていこうと思います。
不動産の相続税と相続放棄
被相続人が死亡し、自分が不動産を相続したらどうでしょうか?
被相続人の死は悲しいかと思いますが、タダで不動産を取得できたなら、少しは嬉しい気持ちはあるのではないでしょうか。
もちろん、不動産の相続が“タダ”とは言っても、みなさん、不動産を取得した際に発生する費用についてはご存知ですよね。相続では、不動産取得税は発生しませんが、登記費用が発生します。
結構、費用はかかってしまうんですよね。でも、不動産を入手できるのであれば安いものですね。
ところで、“相続税”については、考えたことがありますか?
相続をすれば、当然に発生する税金です。
相続=現金のようなイメージが強いですが、不動産の相続もしっかりと相続税が発生します。
ちなみに、相続税の納付方法は“現金が原則”です。
ただし、どうしても金銭での納税が厳しいのであれば、物納も認められています。
物納として認められる財産は、物納申請者の相続財産であり、日本国内にあるものです。
例えば、被相続人の残した財産と呼べるものが、建物などの不動産のみであった場合で考えてみましょう。
相続税(金銭)を自分で用意し、納税するか、不動産を売却して納税するか、相続放棄をするかしかありません。
もし仮に、被相続人が相続人のために立派な建物を残したとしましょう。
納めるべき相続税額は、あまりにも高額になってしまいます。
不動産を相続財産として残すのであれば、生命保険に加入しておくなどして、相続税分の金銭を用意しておくようにしましょう。
相続の種類
先程は、不動産の相続税についてお話をしました。
もしも、納税すべき金銭を用意できなければ、最悪の場合相続放棄をするしかありません。ということでした。
ただ、相続と言っても、3つの相続の種類があることはご存知ですか?
もっとも一般的な単純承認、一部のみ相続をする限定承認、全く相続をしませんよ!という相続放棄です。
不動産を相続した場合であっても、当然に相続税の支払いをしなければいけません。
もしも相続税を支払う経済的余裕がなければどうしますか?
まずは、3つの相続について詳しくお話しますね。
単純承認
単純承認とは、被相続人が残した財産すべてについて相続をします。という相続方法です。
もしも、被相続人に借金があれば、遺産と同時に借金も相続しますので注意してくださいね!
もちろん、遺産と呼べるものが一切なく、借金だけあったとしても、単純承認してしまえば、すべてを相続します。
単純承認は、特別な手続きを行う必要はありませんが、被相続人が残した財産の一部でも処分した場合には、単純承認したものとみなされます。
つまり、相続した不動産を売却してしまえば、単純承認したものとみなされてしまうため、後に借金が発覚した場合には、借金も支払わなければいけなくなります!
限定承認
限定承認とは、プラスの財産からマイナスの財産を差し引き、相続する方法です。
プラスの財産よりもマイナスの財産が多かった場合には、プラスの財産を上限に支払い義務が発生します。
もしもプラスの財産の範囲内で抑えることができれば、差し引いた財産を相続します。
なお、限定承認を選択するのであれば、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し出なければいけません。
相続放棄
相続放棄とは、プラスの財産、マイナスの財産、一切関係なくすべての相続を放棄する方法です。
相続放棄も、限定承認と同じく、相続を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所への申し出が必要です。
なお、相続放棄は単純承認とは異なり、単独での放棄が可能です。
まとめ
今回は、相続税と相続放棄について紹介しました。
相続税は、相続財産すべてに対して課税されます。もちろん、不動産に対してもです。
何度も申しますが、納税すべき金銭を用意できなければ、せっかく相続した不動産を手放すしかありません。悲しいですよね。
ちなみに、相続税は、相続の開始を知ったときから4ヶ月以内に確定申告(準確定申告)を行い、納税しなければいけません。
不動産を売りに出して、4ヶ月以内に確実に現金を用意できる自信はありますか?
延納や物納も認められてはいますが、ケースバイケースです。
不動産のみの相続は、非常に多くの金銭が必要ですので、前もって準備をしておくか、金銭と同時に相続できるようにしておかなければいけません。