不動産の“争続”とは?トラブルを回避するためにできること

だれかが死亡すれば、当然に相続が発生します。

相続財産が一切ないという人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

相続は、プラスの財産のみならず、マイナスの財産すらも相続するためです。

 

当然に発生する相続は、一生のうちにそう何回も経験することではありません。

ところが、相続をきっかけに家族間の関係が悪化してしまう可能性があるんです。

とくに、不動産の相続時には多いです。とても悲しいですよね。

 

では、どのようにすれば、トラブルを回避できるのでしょうか。

今回は不動産の“争続”についてお話をしていこうと思います。

 

不動産争続とは

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みなさん、“争続”という言葉を聞いたことがありますか?

 

一応言っておきますが、誤字ではありませんよ!

争続とは、通常の相続とは異なり、争いが発生してしまう相続のことを指す、造語です。

 

相続発生時に争いが起こることは、昔から当たり前のようにありました。

とくに、相続財産が高額になればなるほど、争続になりやすい傾向にあります。

 

また、相続人が複数人いるにも関わらず、相続財産が“不動産のみ”の場合にも争続が発生しやすくなります。

 

例えば、相続人が配偶者、子2人(いずれも成人、独立)であり、相続財産が動産のみであったとしましょう。

 

配偶者は自分の居住先として、当然に自宅を残しておきたいはずです。

ところが、法定相続人である子2人は、不動産を売却して、お金に変えたうえで相続をさせるべきだと、意見が分かれてしまいます。

 

仮に、配偶者に子2人がもらうべき相続財産を有していれば、金銭を支払って済む話です。ところが、持っていなければ“争続”に発展してしまう可能性が高いんです。

 

互いに、当然の権利を主張しているだけではありますが、不本意ながら争続に発展してしまう可能性があります。

 

争続を防ぐためにできること

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争続は、被相続人のみならず、相続人としても避けて通りたいはずです。

では、争続を回避するためにできることはあるのでしょうか?

 

もちろん、あります!

例えば、不動産以外の財産を確保しておくことで、法定相続人全員で分配が可能ですよね。もちろん、財産を増やすのはそう簡単なことではありません。

 

しかし、生命保険などを活用しておけば、“現金”の確保が可能ですし、保険料の負担もそこまで大きくはありません。

被相続人が生前に入っておく必要がありますが、トラブル回避のために、加入しておいても良いでしょう。

 

他には、遺言書を残しておくのもひとつの手段です。

不動産は、売却せずに配偶者に相続をさせる旨などを記載しておけば、効力が生じます。

ただ、遺留分などを主張される可能性もありますので、争続を絶対に回避できるのか?と聞かれてしまえば難しいかもしれません。

 

ただ、生前に家族全員で話し合いを行っておくことで、ある程度の争続は回避できるはずです。

 

ちなみに、遺言書の効力を生じさせるための手続きと遺言書の種類についても併せて紹介しますね。

 

遺言書の種類と効力を生じさせるために行うべきこと

遺言書は、故人の意志を残すために、必要なものです。

“争続”を防ぐためにも、とても大切な手続きですので、しっかりと把握しておきましょう。

 

まずは、遺言でできることについてですが、身分に関すること、相続に関する事項、財産処分に関する事項の3つです。

 

自分の財産をだれに相続させたいのか、どのように処分してほしいのかなどを書くことが可能です。

 

そして遺言書には、普通方式遺言として下記の3つの種類があります。

・自筆証書遺言

・公正証書遺言

・秘密証書遺言

 

もっとも一般的な遺言書は、自筆証書遺言です。

自筆証書遺言では、遺言者が全文・日付・氏名を自筆し、押印をして作成します。

日付や氏名、押印がなければ、効力が生じませんので注意してください。

 

公正証書遺言は、公証人によって作成される遺言書です。

文字が書けない人でも、意思能力があれば作成が可能な遺言書であり、証人が2人以上いることが条件です。

 

秘密証書遺言とは、遺言内容を秘密にして保管するための方式です。

争続を回避するためには、法定相続人にも話をしておくべきですので、あまりおすすめはしません。

 

何らかの理由で秘密にしておきたい場合には、証人2人以上の立ち会いのもとで作成が可能です。

 

遺言書は、故人の意志を残すためにとても必要なものですが、検認と開封を誤れば効力を失いますので注意してください!

 

遺言書は基本的(公正証書遺言以外)に、家庭裁判所にて検認手続きが必要です。

また、封印のある遺言書については、家庭裁判所で、すべての相続人が立ち会いのもと開封しなければいけません。

 

いずれも、争続を回避するためには必ず必要な手続きですので、忘れずに実行してください。

 

まとめ

今回は、不動産の“争続”について紹介しました。

相続財産が不動産しかなく、意見が一致しなければ、争続に発展しやすいです。

 

とくに、配偶者がいる場合には、居住用としている場合が多く、親子間で関係が悪化してしまう事例も多くあります。

 

被相続人は、残された家族が仲良く暮らしていけるように前もって準備をしておかなければいけません。

 

遺言書の準備も然り、前もって家族全員で話をしておくことで、争続はある程度防げるのではないでしょうか。