不動産を相続された方は、相続した不動産をどのように使用するか決めていますか?
売却してお金に変えてしまうのも良いですし、自分が住んでも良いですよね。
ですが、「賃貸として貸し出してみる」というのもありではないでしょうか。
売却するのであれば、すぐに買い手がつくかどうかもわかりません。
自分が住むにしても、家族構成やライフスタイルによっては、合わない可能性もありますよね。
しかし、賃貸として貸し出すのであれば、空室リスクはあるにしても、無借金で毎月安定した収入を得られるのはメリットですよね。
もしも相続不動産の使いみちが決まっていないのであれば、賃貸を検討してみてはどうでしょうか。
今回は、相続不動産を賃貸する場合の手続方法などについてお伝えしていこうと思います。
不動産賃貸の基礎知識 借家権について
外を歩けばたくさんのマンションやアパート、戸建住宅などがあり、人が住んでいます。
ところが、住んでいる人と当該物件の所有者は必ずしも同じではありませんよね。
賃借人がいて賃貸人がいたとすれば、二者間で「賃料を支払ってくれれば貸しますよ」「お金を払うので借りますよ」という契約を締結します。
この契約のことを賃貸借契約と呼びます。
ちなみに、お互いが納得をすれば必ずしも書面での契約である必要はありません。
(言った言わないのトラブル防止のために、書面をおすすめしますが…)
そして、賃貸借契約によって発生する、建物を借りる権利のことを「借家権」と言います。借家権には普通借家権と定期借家権の2種類があります。
普通借家権と定期借家権について詳しくお話をしていきますね。
普通借家権とは
普通借家権とは、原則として1年以上の賃貸借契約でなければいけません。
契約期間が1年未満の契約については、「期間の定めがない契約」となり、賃貸人は6か月以上前に申告することで契約の解除ができます。
賃借人は、3か月以上前に申し出れば契約解除が可能。
ただし!賃貸人からの契約解除は、正当な事由がなければできません。
つまり、今後売る予定のある物件で、1年未満の契約を締結してしまった場合、賃貸人からの一方的な契約解除ができません。
将来に向かって不動産を手放す予定があるのであれば、定期借家権での契約を締結しましょう。
定期借家権とは
定期借家権とは、賃貸借契約締結時に期間を定め、期間満了後に更新をすることなく終了する借家制度です。
数年後には、リタイアして地元に帰りたい。地元に帰った際には相続した不動産に住もう。などと言った際には、定期借家権を使用すれば良いですね。
一時的に貸し出したいときなど便利な制度です。
なお、定期借家権については契約締結時に書面で更新しない旨の記載をし、口頭でも伝えるようにしましょう。
そして、普通借家権から定期借家権への変更はできません。
変更をしたいのであればまず、普通借家権の契約を解除し、改めて定期借家権の契約を締結しなければいけません。
賃貸借契約終了時の取り決め
賃貸借契約が満了し、更新をしない場合には、賃借人は原状回復義務があります。
つまり賃貸人は、賃借人に対して貸し出したときと同じ状態に戻す費用を請求できます。
意外とトラブルに発展しやすいものでもありますので、契約締結時にあらかじめ説明をしておきましょう。
また、賃貸人・賃借人が室内の傷チェックなどを行うなどトラブル防止対策を徹底しておくようにしましょう。
まとめ
相続した不動産であれば自己資金ほぼ0で賃貸経営ができます。
毎月ある程度決まった家賃収入が得らのはとてもありがたいですよね。
しかし、契約事項や権利関係についても最低限把握しておかなければ、トラブルの原因になりかねません。
今回は、普通借家権や定期借家権について紹介しましたが、どのようにして契約を締結するのか。何十年先まで自分のライフスタイルを見据えて決定しましょう。